大野ひろみのクラクラさくら

議会はなんでもありのワンダーランド。あきれたり、怒ったり、笑ったり、クラクラしながら言いたいことは言わせてもらいます!

八ツ場ダムはいらない! 香取で吠える

八ツ場ダムが風雲急を告げている。

民主党は2年前すてきな「中止宣言」したものの、その後は現地住民の
生活再建には知らん顔。関係都県との調整もさぼり、あろうことか、
島津さんたち「ダム中止派」の学識経験者の提言にも馬耳東風。

一方、金と利権としがらみで強く結ばれた「推進派」の巻き返しはすさまじく、
結束は固く、気勢は激しく、あちこちで熱心な推進への決起集会を開き、
サッカーで言えば、一方的にゴールを決めている。

肝心の国交省の八ツ場ダム検証も、「推進派」の御用学者ばかりを集め、
「八ツ場ダムありき」の議論でお茶を濁している。
大体、ダムを進めてきた国交省が「検証」するというのだから、
犯人が探偵役をしているのと同じ。真実が浮き彫りになどされっこない。
こんな国交省の好き勝手を許してきた民主党の罪は限りなく大きい。

さて、その国交省、「ダム推進」への最後のおぜん立てを用意してきた。
やっぱりダムを造ると決めたのだけれど、そのまま発表するには、さすがに
国民に対してバツが悪い。
たぶん、こんな会話が交わされたはずだ。
「一応ね、関係都県のね、住民の意見も聞いたことにしとかなくちゃね」

そこで、国交省の「八ツ場ダム検証結果の報告」に対するパブリックコメントの公募と
住民からの意見聴取が企てられた。
両方とも、発表から実施までほとんど日がなく、本気で住民の意見を聞く気など
ハナからないのがアリアリ。
おまけに、この「検証結果報告書(素案)」というのがものすごいボリューム。
内容もシロ―トには理解不能な難解キャンディーズ。

向こうのアリバイ作りに協力する気はサラサラないけれど、
やっぱり、きちんとパブコメと意見聴取には応じよう、ということで、
私もほとんど時間がない中、何とか両方に応募した。

そして、今日、(前置きが長い! すんません)
住民意見聴取の会場である香取市の国交省の事務所に、春子さんと入江さんの
3人で出かけた。

会場についてみて、びっくり。
意見陳述をする市民は、私たち3人だけ。
推進側から大勢押し掛けてくるのではないか、という危惧はなくなったけれど、
これではあまりにさびしい。

なぜ、推進派は応募しなかったのか。
すでに八ツ場ダム推進のサインが下りたので、こんな面倒くさい意見陳述など
どうでもいいのか。

会場には国交省のお役人が7~8人ズラリと並んでいる。
傍聴には千葉日報の記者1名、市民らしき人3名。

意見陳述は一人15分。
私は、この検証がスタートから明後日の方を向いていることを指摘した。

水は余っている。
千葉県は1日約80万トン。
他の都県も、東京の100数10万トンをはじめ、水は余っている。
それにも関らず、「検証」は「水は足りない」という前提で押し切っている。
だから、新たな水源開発が必要なのかどうか、という視点は全く欠落。
はるか遠くの富士川から水を引く、などという荒唐無稽な代替案が出るのだ。

治水も同じ。

千葉県にとって八ツ場ダムができることで、どれくらい洪水がカットできるのか。
これについては千葉県は一切関知しない。
何もかも不明なまま、やみくもに八ツ場ダムが必要だと声をあげているのだ。

末尾に、私の「意見陳述」を貼り付けるので、時間のある方は読んで下さい。

3人3様、しっかりと八ツ場ダムはいらない旨、意見を述べ会場をあとにした。
重大な任務を終えた高揚感と、国交省に踊らされているというむなしさと、
相反する複雑な思いを抱え、外に出てみると、霧にむせぶ利根川が広がっていた。

写真は、利根川を背に入江さんと。
遠くに水門が見える。
昨夜は明け方4時までかかって原稿を作成したので、疲れた顔の私。
tonegawa.jpg

以下、原稿。長くてごめんなさい。


私は2003年~2011年まで千葉県議会議員を8年間務め、今年4月からは佐倉市議会議員として政治の場に参加させていただいております。県議会、市議会、その両方で、常に身近な課題として八ツ場ダム問題と向き合い、さまざまな情報を集め質問を繰り返してまいりました。その経験を踏まえ、今回の八ツ場ダム建設事業の検証に係る検討報告書の素案を読んでみましたが、残念ながら全体的に極めて恣意的、誘導的であり、公正で中立的な科学的検証とは程遠いものと言わざるをえません。
その理由を千葉県民、あるいは佐倉市民としての立場から、申し上げます。
まず、利水の問題です。
 本検証は、八ツ場ダム事業に参画する1都5県が現在どこも水余り状態であることを一切無視、水は足りないという誤った前提のもと進められており、スタートから明後日の方を向いています。結論が間違ったものになるのは当然の帰結です。
千葉県を例にとりますと、図1をごらんください。水道用水と工業用水を合計した1日最大給水量のグラフですが、青い線が実績です。赤い線が千葉県長期水需給の平成15年推計による水需要の伸びを表しています。平成27年度には382万8千立方メートルと予測されていました。これではさすがに現実とかい離しているということで、平成20年見直されました。そのときの推計が緑色の線で、平成27年度には338万1000立方メートルと大幅に下方修正されました。しかし、これでも過大な予測であることは、実績である青い線を見れば一目瞭然です。右肩下がりになっている青い線が、今後一気に上り調子に転ずるとはとても思えません。
  誰が見ても明らかな過大予測をなぜ、国は行うのでしょうか。
 つい先日、11月4日に行われた「八ッ場ダム建設事業に係る検討報告書(素案)に対する学識経験を有する者の意見聴取の場」で、いみじくも、岡本雅美・元日本大学教授が、「水需要予測については各自治体が皆、かなりの余裕をもって予測するから、全体としては過大となる」というカラクリの一つを解説しました。水を供給する自治体としては、水は多ければ多いほど安心というわけです。
しかし、これは地方自治法第2条第14項、 「 地方公共団体は、その事務を処理する に当たっては、最小の経費で最大の効果を挙げる ようにしなければならない。」に明白に違反しています。
 各自治体の過大な予測の例ですが、わが佐倉市においても、1日最大配水量は平成13年(2001年)から平成21年(2009年)まで、約5500㎥も減っています。人口も減少傾向に入りました。それにも関わらず、まだ水は足りないとして八ツ場ダムに参画しております。ちなみに、佐倉市では現在水道水の65%が地下水です。昔は佐倉の名水としておいしい地下水100%を誇っておりましたが、印旛広域水道事業からの受水が始まってから地下水の割合が減らされ、現在にいたっています。
八ツ場ダム等が完成すると、33本ある井戸のうち25本が閉鎖され、地下水の割合は25%にまで下げられます。水道料金は逆に現在の1.5倍に跳ね上がります。せっかくの地下水という資源を手放す理由として、地下水くみ上げによる地盤沈下が挙げられていますが、これは人口が急激に増え産業が盛んになり始めた昭和30年ごろの現象であり、現在ほとんど沈静化しています。
 一方、今年3月、福島原発事故による放射能汚染は河川水にも達し、人々の不安をあおりました。乳幼児を抱えたお母さんたちが、危険な水道水ではなく安心な地下水やペットボトルを求めて走り回っている姿が新聞やテレビで報道されました。佐倉市でも、改めて地下水の安全性が見直され、これ以上地下水を減らすことに異議を唱える市民が急増しています。
 次に、工業用水についてです。現在日量5万2300立方メートルの水が企業庁により売りに出されていますが、一向に買い手がつきません。困った企業庁は、事業者が新規に給水を申し込む場合の納付金1トン当たり21万円をタダにしました。総額約100億円の収入が消えてしまったわけです。そこまでしても水は売れず、5万トンのが売れ残っているのです。それなのになお、八ツ場ダムから4万トンもの水を仕入れようとしている企業庁の姿勢は、理解不能です。倉庫に商品が大量に売れ残っているのに、更に同じ品物を大量に注文する、こんな非常識な企業庁の経営方針を、国は認めるのでしょうか。

次に治水についてです。
これまで八ッ場ダムの削減効果は、ハ斗島地点で、基本高水流量22,000㎥/秒に対して平均600㎥/秒とされてきました。22,000㎥/秒に対する削減率は2.7%です。ところが、今回の検証では、八斗島地点17,000㎥/秒に対する八ッ場ダムの削減効果が平均1,176㎥/秒で、削減率は6.9%になり、従来の2.7%の2.6倍にもなっています。今まで散々国交省が公表してきた数字が、突然大きく変わってしまったのです。国交省のご都合主義で重要な数字が変更されたとしかおもえません。
一方、市民団体は、ハ斗島地点での八ツ場ダムの洪水調節効果は、わずか13センチと計算しています。4メートルもある堤防で、たったの13センチ水位を下げる効果しかないということです。国交省はいまだこの数値に対して異論も反論もしておりません。というより、反論できないのではないでしょうか。
では、わが千葉県での治水効果はどうでしょう。
私は2008年3月の県議会予算委員会で八ッ場ダムの治水効果について質問をしました。図2をご覧ください。利根川の治水のための河川事業には河川改修とダム建設の2種類ありますが、近年河川改修の予算が10年前の1200億円から、600億円へと半減しています。逆にダム建設費は伸びており、特に八ッ場ダムは200億円から400億円へと倍増しました。ダム建設費が河川改修費を圧迫していると言えます。ダム建設に巨額の費用を投じているため、本来急がねばならない堤防改修や、河道整備が、後回しになっているのが現状です。これは本報告書も指摘しているところであり、概要版の7ページ表2-3-2で、利根川において浸透対策が必要な区間は全体の62%に及ぶことが明記されています。それを端的に示しているのが図3です。これは国交省が作成したもので、千葉県における利根川流域の状況を表していますが、ほとんどが赤く塗られています。これは安全性が不足している区間です。
私は予算委員会で、「ダム建設よりも、脆弱な堤防が多い利根川の河川改修を急ぐべきではないのか」と質問しましたが、答弁では、「河道整備を計画的に進めると同時に、早期に効果が期待されるダムを完成させる」ということでした。
ならば、「八ッ場ダムによって千葉県はいったいどれほどの治水効果を受けるのか」と質問しましたところ、県からは「千葉県の治水効果は、まだ算出されておりません」という驚くべき回答が返ってきました。なんと千葉県は治水効果も分からぬままに、八ッ場ダム建設に巨額の負担金を支払い続けているのです。
通常、千葉県から200キロも離れた八ッ場ダムによる治水効果が、千葉県で発現するとは考えにくいものです。
しかし、国交省は、基準点である八斗島上流区域で、カスリーン台風並みの3日間で318ミリという雨が降った場合、利根川ぞいはほとんど浸水してしまうとして、氾濫シミュレーションを策定しています。これが八ツ場ダム建設を急ぐひとつの根拠となっているのです。
 しかるに、2007年9月、台風9号が八ッ場ダム予定地に大雨を降らしました。3日間の雨量が323ミリという、まさにカスリーン台風なみの雨量です。ところが、八ッ場ダム予定地の直下の流量は、想定値3,900㎥/秒の3分の1に過ぎない1,100㎥/秒でした。吾妻渓谷はそれ自体が天然のダムであり、このときも洪水調節機能を働かせたからだと言われています。当然、下流域の千葉県では、ほとんど影響がありませんでした。
河川法第63条には、「都府県が著しく利益を受ける場合においては、国土交通大臣は、費用の一部を当該利益を受ける都府県に負担させることができる」とあります。
しかし、上に述べたように、千葉県が「著しい利益」を得ているという事実が全く証明されていない点から、千葉県の負担金拠出は河川法に違反していると言えるのではないでしょうか。
また、国交省は毎年5月に、堤防が低かったり、漏水の危険性があるところなど、その年の「重要水防箇所」を確認するパトロールを、千葉県及び地元市町村と合同で行っています。パトロールの結果を見ると、.野田市、柏市、我孫子市では、多くの箇所が「重要水防箇所」となっており、一番危険なAランクに指定されている個所も少なくありません。これら「レッドゾーン」の住民は、常に危険と隣あわせの生活を強いられているのです。
以上のことから、千葉県にとって八ッ場ダムの治水効果は大変疑わしいものと判断せざるを得ず、何よりも利根川の河川改修を急ぐべきです。ところがこれまで述べたとおり、八ッ場ダム建設の予算が膨れ上がることにより、河川改修の予算は毎年削られる一方です。大雨が降るたびに、いまだに地元の水防団の人々が懸命に土嚢を積む姿が報じられますが、昔ながらの人力に頼る水防ではなく、抜本的な堤防改修をすることこそが住民の真の安全と生活向上につながります。本報告書では、このような現場の実情が全く欠落しています。
 
八ッ場ダムの総事業費は、建設費だけで4,600億円、関連事業費を入れると5,846億円、起債の利息を加えて約8,800億円にも達します。工期が延びたことで事業費増額もあり、現実に今年1月33億6千万円の増額が発表されました。更に今後、代替地の造成費の公費負担100億円、東電への減電補償に数100億円、全て合わせると1兆円にものぼります。
また、代替地の地盤の脆弱さは多くの学者が指摘しているところです。浅間山の噴火によって火山灰や岩屑が降り積もってできた現地の地層はもともと地滑りを起こしやすく、そのような場所を切り開き、不自然な造成をしているのです。全国的に例を見ない30メートルの盛土など正気の沙汰とは思えません。
今年9月近畿地方を襲った台風12号で、深層崩壊という恐ろしい山崩れが起きました。八ツ場の代替地でも起きる可能性があり、その対策は当然急がねばなりません。事業費は雪だるま式に増えていくのは火を見るより明らかです。
千葉県の負担額は、建設費・関連事業費・起債利息全て含めると、少なくとも約760億円に達すると試算されています。ダムの負担金の原資は地方債であり、30年後の子どもや孫の世代にも負担を強いることになります。
今後人口が減り始める2015年以降に八ツ場ダムが完成しても、既に水余りは加速しており、無用の長物、迷惑なお荷物になることが目に見えています。
ダム撤去費にも数100億円かかります。
未来の世代がいくらこんなダムはいらないと思ってもどうにもなりません。未来の世代の選択肢を奪い、巨額のツケを残すことを、今の私たちが許してしまっていいのでしょうか。
遠く静岡県の富士川から水を引いてくるなどという荒唐無稽な案と対比させて、八ツ場ダム建設のほうがコストが安いなどという検証結果は、もはや検証の名前にも値しません。茶番劇のシナリオと言い換えるべきです。
国交省に対しては、本検証の抜本的見直しを要求し、私の意見陳述を終わります。



  1. 2011/11/07(月) 03:12:22|
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